土曜日, 1月 06, 2007

調整業という仕事

結婚できない男、というドラマを見た。


見たと言っても、このドラマ、昨年の7月から9月までフジテレビ系で放送されていたもので、12月には再放送もしたものだ。よほど人気があったのだろうか。



ストーリーなど気になる方はコチラを見ていただくとして、このドラマの登場人物の高島礼子扮する沢崎麻耶という女性について考えてみる。

彼女は、公式サイトの説明によると「住宅プロデュース会社の社員で、信介の仕事相手・・・」ということになっている。信介は阿部寛扮するこのドラマの主人公で、アルバイト程度の従業員一人を抱える建築家である。まあドラマだから少々デフォルメして描いてあるが、生来偏屈で変わり者のため、会社員になじめなく、会社をドロップアウトして独立、といった設定であろう。


・・・うーむ、信介に似てるところがあるぞ。
これは面白い、と思ったのは、主人公に共感できたことが要因か・・・。


閑話休題。
沢崎麻耶について考えてみよう。

ドラマの中で彼女は、主に次の仕事をしていた。
・自分の所属する住宅プロデュース会社に来た、客の希望に合わせてデザイナーを紹介
・デザイナーのスケジュールを決定
・デザイナーに対するクレームを処理
ドラマを見ると、住宅プロデュース会社は建築一式を請け負って、それをデザイナーに丸投げしているように思える。住宅業界は原価5割とも言うので、利益のうち一部がプロデュース会社の利益となるのだろうが、それでもいい稼ぎになりそうだ。
とは言え、沢崎の信介の事務所への時間の割き具合から逆算すると、いったいプロデュース会社は幾らで請け負っているのか不思議になるが、まあそれはドラマなので細かく考えるのはよそう。

さて、ドラマの中の彼女の仕事は、一言で言えば調整役である。上記3点のどれもが、何かを調整する仕事と言える。
まず、具体的なプランを持たない(大抵の客はそうだ)客の希望と、それにフィットする特徴のあるデザイン事務所の仕事の空き具合とを調整する。
次に、客と事務所の顔合わせから、おそらくは引渡しまでのスケジュールの調整を行う。
その中に出てくる三者(客、デザイナー、工務店)間の要求や苦情を調整して波風ができるだけ立たないようにする。

残念ながら、こういう才能を持ち合わせていないので、彼女が劇中で簡単にこなす仕事のどれもが、非常に難しいものに思える。


彼女の所属する会社は、住宅プロデュース業ということになっている。
プロデュース業というのは世の中にあふれている。
たとえば、結婚プロデュース、レストランプロデュース、人材プロデュース、観光プロデュース・・・
ちょっとgoogleで検索してみたら、プロデュース業というのは驚くほど多岐にわたる。沢崎麻耶の仕事はまさにこのプロデュース業・・・なのかと思いきや、どうもちょっと違うようだ。

彼女の仕事は、調整業。
誰かの(時には自分の)仕事がスムーズに進むように、手配をしたり頭を下げたりする。
仕事は仕事と割り切って、人にペコペコ頭を下げても気にならないタイプで、事務処理能力と社交性の高い人が向くのだろう。


サラリーマンをやっているとこういう人をよく見かけるが、調整業という仕事で独立できないものか。
建築家もそうだが、専門的な仕事を個人もしくは数人程度でコツコツとやるような仕事であれば、このような調整役の存在は非常にありがたいものだと思うのだが。
だいたい、専門的な仕事をコツコツ、なんていうタイプは事務処理能力というか現実対処能力に欠けている場合が多い。そういう人が事務所を構える場合、どうしても営業というか対外業務をやる人を雇わなければならないが、人を一人雇うのは非常にコストがかかる。だいたい、一人でコツコツやる仕事にそんなに対外業務が多いワケはなく、人を雇うまでもないし、仕方なしに本業の時間と労力を少々割いて自分でやる、ということになる。

そこで、フリーランスの調整業という職業が成り立つのではないかと思うのだ。

まずコストが安い。沢崎麻耶のように、仕事を振って調整する代わりに請負金額の一部を調整費として差し引く、という形なら、固定費がかかることなく、振られた仕事の範囲内で費用が発生する。つまり、持ち出しになることがない。
そしてもう一つ、仕事がはかどる。なにしろ、今何をすれば良いか、次に何をすれば良いか、もしトラブルになったらどうするか、考える必要がない。自分の仕事に没頭できるのである。苦手な部分を代行してもらえることで仕事に対するストレスも軽減できる。

細かく言えばもっと理由を挙げることができると思うが、調整業という職業をフリーランスでやれる、という主たる理由はこんなところではないか。
個人でコツコツやっている仕事など、世の中に沢山あるわけで、多かれ少なかれこのような需要を抱えているとすれば、十分ビジネスとして成立すると思う。


どうだろう、サラリーマンをやっていて、このような仕事が得意だという人も少なくない筈だ。
副業でもいいから、調整業という仕事をやってみてはいかがだろうか。
そしてこちらの仕事をお手伝いいただければ非常にありがたいのだが。
もし軌道に乗って独立した暁には、アイデア料・・・ゴホンゴホン(笑)